2011年4月24日日曜日

センダイムシクイ

先週オオルリが出たきり、夏鳥の気配は止んでしまいました。このまま終わってしまったらどうしよう…そんな不安も感じる中、第70回井の頭かんさつ会の今日、センダイムシクイがまとまって飛来しました。

今日4月24日は「井の頭かんさつ会の日」。今から6年前の2005年4月24日に第1回の井の頭かんさつ会を開催したのです。最初のテーマは「カイツブリ」で、田中利秋代表がリーダーを担当しました。

あれから6年。延べ1800人の参加者をご案内し、4人でスタートしたかんさつ会のメンバーは12人に増え、新聞に雑誌、TVでも紹介され、仲間がたくさん増えました。この記念すべきハレの日、あちこちでセンダイムシクイのチヨチヨビーの声が聞こえました。

2011年4月19日火曜日

スプリング・エフェメラル

 井の頭公園では、ソメイヨシノはほぼ散ってしまいましたが、春の花は次々と咲き始め、百花繚乱。また、昆虫たちの姿も次々と見られるようになりました。

  東日本大震災の被災地の桜も咲き始めているという報道に触れ、被災された方々の生活にも、一刻も早く春が訪れますようにとお祈り申し上げています。

   さて、蝶についてみれば、井の頭では成虫越冬蝶のウラギンシジミ・ムラサキシジミ・キタキチョウ・キタテハ・ルリタテハが活発に動き始め、次いで蛹越冬のモンシロチョウやツマキチョウ・ナミアゲハやクロアゲハも羽化し、先日は幼虫越冬のヤマトシジミも目にしました。まさに蝶の世界も春爛漫です。

 その中で、一際春を感じさせるのがツマキチョウ(写真♂)。モンシロチョウは確かに春一番に動き出す蝶に見えますが、実は何代も成長を繰り返し、晩秋まで観察することができる蝶でもあります。 それに対し、ツマキチョウは年に一代で、成虫は春にしか見られません。このように、春にしか姿を目にすることができない蝶を、スプリング・エフェメラル(春の妖精、または春の儚いもの)と呼ぶことがあります。(spring ephemeral 本来は春先に咲く草本の花の呼び名でした。)

 ツマキチョウはモンシロチョウによく似ていますが、ちょっと小ぶりで♂の翅の先(褄)が黄色いのが特徴です。(♀は黄色くありません。)私は、この蝶がなんとなく好きで、春には必ず探して確認しています。でないと、来年までお預けになってしまいますから。そして、どんな花を好み、どんな植物に産卵するかなどを短い間に少しでも観察しようと努めています。

 ところで、スプリング・エフェメラルのツマキチョウは「儚い命」なのでしょうか。よく考えるとツマキチョウの一個体の一生はほぼ一年間です。成虫は姿をすぐに消しても、卵→幼虫→蛹の姿で翌春まで生きているのですから。それに比べて、例えばモンシロチョウの成虫は晩秋まで見られますが、一個体の命はけっこう短いです。ですから、成虫が見られる期間が短いから「儚い」と思うのは、単に人間の感傷かもしれません。ものは考えようですね。

 みなさんも今しか見られないスプリング・エフェメラルを見つけて、春を感じ取ったり、命のありようを考えてみたりしてください。    

2011年4月17日日曜日

木の中の木

展葉が進むトチノキの芽吹きを観察していた時、トチノキの掌状複葉の葉がある文字に見えました。どうでしょう、「木」という漢字に見えませんか?私にはトチノキのあちこちに「木」の文字がぶら下がっているように見えたのです。トチノキは木の中の木、というわけです。些細なことですが、こういう視点も面白いと思いませんか。