2011年6月6日月曜日

月の女神と言われる蛾

 蛾も「苦手」「嫌い」と言われることが多い昆虫ですが、中にはなかなかきれいで魅力的と思われるものもいると思うのは私だけでしょうか。
 写真はオオミズアオ(大水青蛾)という名前のヤママユガ科に属する蛾です。開帳が100mm前後というかなり大きな蛾で、色が薄い水色をしています。

 学名はActias srtemis。ギリシア神話の月の女神アルテミスに由来しています。なかなかきれいだと思いませんか。

 ところでバーダーの人たちの中には、この蛾を見るとアオバズクを連想する人がいます。この蛾は夜行性で灯火などに飛来する性質があるので、夜に狩りをするアオバズクなどに捕食されることが多いからです。アオバズクがいたと思われる木の下に、20匹近くのオオミズアオの翅が落ちていたこともありました。

 私は今季、オオミズアオの羽化を3回見ましたが、ちょうど井の頭でもアオバズクの鳴き声が聞こえたという情報もあります。このきれいな蛾が飛ぶ姿も見てみたいし、アオバズクの姿も見たいですが、そのためには夜に観察しないとなりませんね。

2011年6月1日水曜日

アカスジキンカメムシは歩く伝統工芸品?

 カメムシと聞くと「臭い匂いを出すのでしょう。」と嫌がる方が多いですね。私はカメムシをずいぶん見てきましたが、今まで一度も匂いの被害にはあっていません。なので、カメムシもけっこう好みの昆虫です。
 あまり飛び回らないので観察しやすいし、いろいろユニークな生態をもつものがいて面白いのですが、 カメムシに最初に興味を持ったのは、写真のアカスジキンカメムシを見つけたときでした。「なんてきれいな昆虫だろう。ブローチにしてつけたいぐらい。まるで歩く伝統工芸品だ!」と思いました。

 アカスジキンカメムシは年1化で、7月下旬から5月中旬ぐらいまでの間、長い幼虫の時代を過ごします。一方成虫が見られるのは、5月中旬から7月ごろまでと短いのです。そのため幼虫はよく見らるのに、成虫にはなかなか出会わなかったので、それだけ初めて見つけたときはうれしかったわけです。

 最近はさすがに毎年よく見つけられるようになったので、感動は減ってきましたが、昨日は3匹も見つかりましたから、今が探すのにぴったりの時期だと思います。
 このきれいな模様も、葉陰に同化して見つかりにくくするカモフラージュの一種なのかもしれませんが、自然が作り出したデザインの素晴らしさにはびっくりさせられますね。

           よく見つかるアカスジカメムシの終令幼虫(この姿で越冬)