2011年4月19日火曜日

スプリング・エフェメラル

 井の頭公園では、ソメイヨシノはほぼ散ってしまいましたが、春の花は次々と咲き始め、百花繚乱。また、昆虫たちの姿も次々と見られるようになりました。

  東日本大震災の被災地の桜も咲き始めているという報道に触れ、被災された方々の生活にも、一刻も早く春が訪れますようにとお祈り申し上げています。

   さて、蝶についてみれば、井の頭では成虫越冬蝶のウラギンシジミ・ムラサキシジミ・キタキチョウ・キタテハ・ルリタテハが活発に動き始め、次いで蛹越冬のモンシロチョウやツマキチョウ・ナミアゲハやクロアゲハも羽化し、先日は幼虫越冬のヤマトシジミも目にしました。まさに蝶の世界も春爛漫です。

 その中で、一際春を感じさせるのがツマキチョウ(写真♂)。モンシロチョウは確かに春一番に動き出す蝶に見えますが、実は何代も成長を繰り返し、晩秋まで観察することができる蝶でもあります。 それに対し、ツマキチョウは年に一代で、成虫は春にしか見られません。このように、春にしか姿を目にすることができない蝶を、スプリング・エフェメラル(春の妖精、または春の儚いもの)と呼ぶことがあります。(spring ephemeral 本来は春先に咲く草本の花の呼び名でした。)

 ツマキチョウはモンシロチョウによく似ていますが、ちょっと小ぶりで♂の翅の先(褄)が黄色いのが特徴です。(♀は黄色くありません。)私は、この蝶がなんとなく好きで、春には必ず探して確認しています。でないと、来年までお預けになってしまいますから。そして、どんな花を好み、どんな植物に産卵するかなどを短い間に少しでも観察しようと努めています。

 ところで、スプリング・エフェメラルのツマキチョウは「儚い命」なのでしょうか。よく考えるとツマキチョウの一個体の一生はほぼ一年間です。成虫は姿をすぐに消しても、卵→幼虫→蛹の姿で翌春まで生きているのですから。それに比べて、例えばモンシロチョウの成虫は晩秋まで見られますが、一個体の命はけっこう短いです。ですから、成虫が見られる期間が短いから「儚い」と思うのは、単に人間の感傷かもしれません。ものは考えようですね。

 みなさんも今しか見られないスプリング・エフェメラルを見つけて、春を感じ取ったり、命のありようを考えてみたりしてください。    

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